Web2.0とLOHAS2.0(後編)

Web2.0とLOHASには実体がありません。

Web2.0は既存の技術の組み合わせでしかないし、
むしろ技術よりもその技術をどう活用するかに焦点があります。

LOHASにしても一般的には「健康・環境・癒し」に関連する
全ての「人・物・事」の総称として使われています。

つまりこの2つには、実体、中身がないのです。
それが、このキーワードたちのなんともつかみどころのないゆえんにもなっています。

しかしその実体のなさが、Web2.0やLOHASの魅力でもあるのです。

例えばWeb2.0的な技術のひとつに、WebAPIというものがあります。
XMLという統一規格を通じて、Web上のあらゆるデータベースを横断できるサービスです。

それによって、「Webマッシュアップ」という、複数のサービスを複合して新しいWebサイトをつくるといったことが可能になりました。

(かねてから、英国や米国のDJの間でマッシュアップと呼ばれる新たな作曲方法が話題になっていました。
これは2つの曲を合わせて1つの曲にするというもので、異なる曲からメロディーとボーカルを取り出しリミックスさせるなどです。)

では、LOHASマッシュアップは何か?というと、
「健康・環境・癒し」に関連する「人・物・事」が
LOHASというキーワードによってつながりやすくなったということです。

たとえば、それまで出会うことのなかった、アロマとレストラン、整体とヨガ、スピリチュアルとセルフデベロップメントなどが
LOHASという言葉のおかげで出会いコラボしていく機会が増えてきたということなのです。

これは非常に貴重なことです。

Web2.0によって異なるサービスがひとつのWebサイトになってしまうように、
LOHASという言葉は「人・物・事」のご縁をつなぐ言葉だと個人的には思っています。

ご縁といえば、mixiなどに代表されるSNSを抜きには語れません。
このSNSも実はWeb2.0的発想から生まれたサービスなのです。

では、LOHAS的視点からこの「ご縁」をみてみるとどうなるでしょうか。

LOHASには健康・環境・癒しといったジャンルがありますが、
健康は体だけでなく心の健康も含まれますし、広い意味ではスピリチュアルや自己開発といった分野も含まれます。
また、自分を良くしたい!ということを突き詰めていくとその延長線上に、社会をよくしたい!世界を良くしたい!地球を良くしたい!
という欲求も自然と出てきます。

そのような価値観をもった人々のご縁が、LOHASをキーワードとして横につながることができます。
少なくともいまのところは、LOHASという言葉がその役割を担っているとぼくは考えています。

それをふまえ、もし「LOHAS2.0」なるものがあるとしたら、そに定義はきっとこうでしょう。
「次世代の価値観を持った人々がSNSなどでつながることで一定のパワーを持ち、新しい時代の幕開けがより加速されること。」

新しい時代はもうすぐそこに、いや、もう始まっています。

Web2.0とLOHAS2.0(前編)

Web2.0の概念のひとつに「オープンソース」と呼ばれるものがあります。

オープンソースとは、ソフトウェアのプログラムコードが全て公開されている状態を指します。

今まで企業などでソフトウェアが開発される場合は基本的に社外秘(クローズド)でしたが、
ソース(プログラム言語で書かれたデータのこと)をオープンにすることで、
開発を全てボランティアべースでつくりあげていくことが可能になりました。

今や誰でも無料で高性能なソフトウェアを使える時代がきたのです。
(ブラウザやデータベース、オフィスソフトからOSなど汎用性の高いものが広くオープンソースで開発されている)

そのオープンソースでの開発には興味深いメリットがあります、
それは、個人の利益が全体の利益になるということです。

例えば、あるオープンソースのソフトウェアを使っているプログラマーがいたとしましょう、

そのような人は「ソフトの機能を追加したい、賞賛を得たい、実績を作りたい」
というようなごく個人的な理由でそのソフトウェアの開発に携わる場合が多くあります。

そういうボランティアたちがたくさん集まることによって、
ソフトウェアがバージョンアップしていったりどんどん洗練されていくのです。
(各個人は全く自分のためであってボランティアという意識はない)

そして、結果的にそのソフトウェアを使うたくさんの人たちもその恩恵に授かるというわけです。

そこで、ロハスの話題に戻りましょう。

自分のエゴを完全に捨ててまでエコに生きるのは難しいことです。
かといって、エコなんて関係なしにエゴを貫くのも極端すぎますよね。

だったら、両方やればいいのです。
理想は、Web2.0方式を取り入れ個人の利益が全体の利益につながるやり方、
つまり、「個人的なエゴが地球のエコになるような価値観」を持てばいいのです。

「本当においしい空気を吸いたい、本当においしい食べ物がたべたい、気持ちいい空間で暮らしたい!」
そんな究極のエゴを実現するためには、どうしてもエコにならざるをえないですよね?
エコなどと偉そうなこと言っているようで、よーするに自己満足なのです。
でも、地球レベルのエゴなら自己満足でもいいんだと思います。

大事なのは、ライフスタイルとしての継続性をもつこと。
理想としては、ただ自然体で生きているだけで、地球に優しい人間になることですね。
そうなりたいものです。

LOHASとは?(ロハスとは?)

ロハスはアメリカでマーケティング用語として生まれ、日本に輸入されました。

エコ・ファッション誌「ソトコト」が、スローライフの次のムーブメントとしてロハスを大々的に取り上げ、ちょっとした流行になりましたが、
ロハスはライフスタイルであり・コンセプトであり・価値観でもありますから、その本質は消えることはありません。
なぜなら、現代における時代の大きな潮流(メガトレンド)がロハス的価値観だからです。

ロハスは「健康・環境・癒し」に関連する全ての「人・物・事」の総称として使われていますが、「Lifestyles of Health and Sustainability」の頭文字をとったものです。

Sustainability(サステナビリティ)は直訳すると「持続可能性」という意味です。
つまり「持続可能な環境=エコ」のことを指しています。
短絡的なエコではなく、もっと長い目で将来を見据えたエコロジーのことです。
Health は、ヘルシーなライフスタイルという意味です。

つまり、「健康」だけでなく「環境」だけでもない、両方バランスよく心がけたライフスタイルがロハスということになります。

ロハス的消費者は、ナチュラルな商品かどうか・本当に良質かどうかなどをきちんと見極め、自分の消費行動が社会のためになるかどうかを考えお金をつかうことが多いといわれています。
ロハス=賢い消費者と言ってもよいかもしれません。
一方、ヨガや習い事などの自己開発・自己投資を惜しまない、という一面もあります。

ある調査会社によると、ロハスを自覚する・しないに関わらず、「日本人の約3割はロハス層」と言われています。

●3大ロハス

ロハスは大きく分けると3つに分類されます。

・米国流ロハス
主にマーケティング用語として使われ、業界内で使われる。
ロハスの市場には5つの分野があるとされている。(下記の5大ジャンル参照)

・日本流ロハス
主にソトコトなどの環境系雑誌やファッション系雑誌などでスローライフの次のムーブメントとして扱われている。

・自分流ロハス
LOHASの L = Lilestyles の s(複数形)が示すように、人の数だけロハスがある。自分なりのロハスを見つけることが重要。

●ロハスの5大ジャンル

米国流ロハスには5つの分野があるとされ、それぞれの頭文字をとってSHAPEと呼ばれています。

・Sustainable Economy 持続可能な経済
再生可能なエネルギーや社会貢献型投資など

・Healthy Living 健康的な生活
オーガニック食品やサプリメントなど

・Alternative Healthcare 代替医療ヘルスケア
予防医学や補助薬品など

・Personal Development 自己開発
ヨガ、スピリチュアル、自己啓発など

Ecological Lifestyles エコロジーな暮らし
環境に配慮した家庭生活や企業活動など

●消費活動としてのロハス

ロハスの大きな特徴は、消費活動まで含まれることです。

消費というとエコロジスト的にはネガティブなイメージがありますが、 1円=1票という意識で1億人がお金を使えば確実に世界は変わります。
なんせ、日本人の総金融資産は1500兆円以上にのぼると言われているのですから。(世界一の億万長者ビルゲイツでさえその資産は6兆円程度!)

経済システムは地球環境に大きな影響を与えています。つまり「企業のロハス化無くしてエコロジーは無し」なのです。
そして最終的には、その企業の行方を左右する私たちひとりひとりの意識的な消費活動(コンシャス・コンシューマー)が重要になってくるのです。

「消費者が変われば企業が変わり、企業が変われば社会が変わり、社会が変われば地球が変わる。」
TLCではそんなビジョンをもとに、消費から世界を少しでもより良い方向に変えていくお手伝いができればと思っています。

●ビジネスとしてのロハス

社会学者のポール・レイ氏と心理学者のシェリー・アンダーソン氏による10年以上にも渡るマーケティング調査でわかってきたのは、ロハス的な消費・生き方を志向する層が約30%もいるということでした。氏はそれをカルチュラル・クリエイティブス(文化創造者)と名付けました。

ロハスはそのカルチュラル・クリエイティブから、マーケティング用語として派生した言葉です。
2005年のマーケティング調査によると、米ロハス市場は約23兆円にのぼると言われています。

ロハスビジネスの特徴は、経済の発展と環境保護の両立を目指しているところです。
ビジネスが広がれば広がるほど、地球環境に貢献したり、人々の意識の変革に貢献するのです。

●カルチュラルクリエイティブスとは

両氏の著書『The Cultural Creatives』によると、カルチュラルクリエイティブスとは、
・地球の生態系を心配している
・心と体を別々に考えるのではなく、心身全体を統合して考る健康観を持っている
・この世には不可解なことがあると認識している
・現代人にありがちなモノとココロの分裂症から回復している
・ネットワーク化の波に乗ろうとしている
・内面の成長を願い、社会的な地位にはこだわらない
・犠牲的精神が旺盛・文化活動などの創造的な時間を大切にしている
・商業主義が押しつける快楽には興味を示さない
・海外好きが多く、知識欲旺盛で、人間関係を大事にしている
などといった特徴が挙げられています。

また「メディアはカルチュラルクリエイティブの存在について全く語らない」とも述べられています。
「彼らは、社会において透明な集団です。独自の宗教や政党を作ろうとせず、本人でさえ、カルチュラルクリエイティブというカルチャーに属していることを知らないのです。」

ロハスの源流であるカルチュラルクリエイティブを知れば、ロハスの本質がみえてくるかもしれませんね。

本当のロハス?

「ロハスとは、人と地球に優しい生活である」といわれますが、それは勘違いです。
環境が悪化して困るのは地球でしょうか?

……いえ、困るのは私たちです。

いくら地球温暖化が進んでも、地球ちゃんは全く困りません。
例え人類が滅びたとしても地球ちゃんは回り続けるし、環境が悪化したといっても、
そのうち(といっても人間にとってはとてつもない長い歳月かもしれませんが)再生する力が地球にはあると思います。
極論を言えば、人類が滅びたほうが地球環境にはよいかもしれません。

つまり、ロハスとは地球のためではなく人類のため、ひいては自分自身のためなのです。
環境問題は地球の問題ではなく自分自身の問題である、という広い視野を持って生活することが本当のロハスなのではないでしょうか。

そして、そこが単なるエコと違うところです。
エコには自己犠牲をはらってまでも地球のために尽くすといった意味合いが含まれます。

しかし実際は、都市はおろか田舎でさえ、完璧なエコ生活を目指すのは難しくなっています。
と言うのも、本気でエコに取り組もうとしたら、クルマは乗れない、インターネットは使えない、買い物だってできません。もちろん全て自給自足です。
なかには、みんなそうするべきだ!と言う人がいますが、そういう人は山奥で仙人にでもなってください。(笑
そこまで厳しくはないにせよ、例えば以下のようなエコ情報をよく見かけます。

「これを使ってはいけない、あれをしてはいけない、食べるな危険。」

……どうでしょう?疲れませんか?まるで宗教のようですね。

これではとても「人に優しい生活」とはいえません。
逆にストレスの原因にもなります。

自分自身のための地球環境なのに、環境を守ろうとするあまり自分を追い詰めてしまっては本末転倒です。
それに、そんなバランスの欠けた生活は持続しません。

そこで、ロハスの出番です。
「心と体の健康=エゴ」と「地球環境=エコ」のバランスを重視し、無理をしないから「持続可能な」ライフスタイルなのです。

では、エゴとエコのバランスとはなんでしょうか?

例えば、クルマは買わないほうがいいし使わないほうがいいとわかっているけれど、
仕事上や生活上どうしても必要になる場合があります。
そういうときは、ハイブリッドカーなどのできるだけ環境を考慮したものを選んだりすることです。

例えば、オーガニックしか食べないとか、完全なベジタリアンというのはバランスが偏っています。
それよりも、食卓の雰囲気を楽しくすることを考えたり、その料理が本当においしいかどうか舌で判断したほうが健全です。
また、地元産・国内産の野菜、顔の見える野菜、良質な素材をできるだけ優先することです。

でも、実はエゴとエコは同じことなんです。
正反対のように思えるこの2つですが、よく考えたら同じだとわかります。

私たちのエゴには、「キレイになりたい!かっこよくなりたい!」とか、
「いつまでも若々しくありたい!元気に長生きしたい!」というものがあります。

そのためには、表面的な健康ではなく真の健康を手に入れなければなりません。
空気の悪いところに住み、工場で作られたものを食べていて、真の健康を得られると思いますか?

無理な話ですね。そうすると、
「本当に体にいいものを食べていたい!」
「本当においしい空気を吸っていたい!」
という究極のエゴがでてきます。
そのエゴを通すためには、嫌でもエコになってしまうのです。

本当に体に良い生活は結果的に環境にも優しいものになるし、
逆に、環境に優しいものを選べば自分自身のためにもなるってことです。

だから、体内環境=地球環境だし、究極のエゴ=エコなのです。